バッテラ
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
バッテラ
産地:大阪府
材料:しめ鯖、酢飯
投稿:大阪食品部員
小舟」に見立てられた大阪の郷土料理
家庭でもなじみ深い料理である
バッテラとは酢飯の上にしめ鯖をのせ、専用の木枠に押し込めて作る大阪の発祥の押し寿司。「バッテラ」とはポルトガル語でボートの意味があり、幕末から明治にかけて大阪では小舟を「バッティラ」と呼んでいた。鯖は尾の方が小さく、寿司にしたときにその曲線が小舟のように見えることから、当時よりバッテラと呼ばれ親しまれてきた。鯖をお酢や昆布で締めるためあっさりと食せるだけでなく、寿司の保存性が高いのが大きな特徴である。関西地方(特に大阪)では家庭でも作って食べるほどなじみ深い料理である。
発祥は今から約120年前の明治28年頃。大阪湾で「このしろ(コハダの成魚)」という魚が大量に捕れており、大阪の寿司職人がバッテラを作ったのが始まりである。安価な寿司であったため大好評となったが、「このしろ」は漁獲量に変動があるため、代替品として鯖が使われるようになった。
バッテラは江戸時代から京都で登場した鯖寿司と似ているとされるが、鯖寿司とは異なるポイントが3つある。まず1つは寿司の切り口の形である。鯖寿司は布巾で寿司を巻き、柔らかい昆布で包むため切り口が丸くなる。一方バッテラは寿司を専用の木枠に入れて型抜きをするため、切り口が四角くなるのが特徴だ。2つ目は使用する鯖の量で、鯖寿司は少し練った酢飯に塩鯖の半身をのせるのに対し、バッテラは酢飯と薄く切った鯖を木枠に押し込めて使用するため鯖寿司と比べてのせる鯖の量が少なくなる。3つ目は昆布の違いである。鯖寿司は上等とされる羅臼昆布を使用するが、バッテラは白板昆布を使用する。
作り方は、まず白板昆布を湯に通し、冷めてから甘酢に漬けておく。専用の木枠に鯖を敷き詰め、その上から左右の量が均等になるように酢飯をぎゅうぎゅうに敷き詰める。蓋をし両手で押し込んだら、反転させ再び押し込む。ゆっくりとバッテラを木枠から取り外し、白板昆布をのせ、切り分けたら完成。専用の木枠がなくても、細長いお弁当箱を使用すれば家庭でも簡単に大阪の伝統の味を楽しめるので、ぜひ作ってみてほしい。
専用の木枠で型抜きをするため切り口が四角になる
大阪名物の押し寿司
加工したネタを使うため保存性が高い
バッテラ発祥の寿司屋ではバッテラを作るための木枠が展示されている