ヒュッツポット

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TRADITIONAL FOOD MANIA

グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。

ヒュッツポット

産地:オランダ
材料:ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ
投稿:アムステルダム駐在員

ヒュッツポット

ヒュッツポットはシンプルな材料だが
野菜の甘みで味わい深い料理となっている

ヒュッツポットはオランダで伝統的に食べられている家庭料理である。ジャガイモ・ニンジン・玉ねぎを茹でてつぶしたものをヒュッツポットと呼び、そこにソーセージを添えるもしくは牛肉の煮込みをかけるのがオランダの食べ方だ。

この料理はオランダにて1568年から1648年まで続いたスペインからの独立戦争である「80年戦争」で誕生したと言われている。戦いの舞台となったオランダ西部の都市ライデンでは、スペイン軍に包囲されていたときに上流の堤防を決壊させスペイン軍を撤退させたという歴史があり、撤退したスペイン軍の陣地で温かい潰した状態の野菜の料理が発見されたことがヒュッツポットのはじまりであるとされている。ライデンでは、毎年10月3日の解放記念日には音楽イベントや礼拝が盛大に行われ、夜にはヒュッツポットを食べて記念日を祝うのが伝統となっている。

そんなヒュッツポットのレシピは野菜の皮を剥き、ひと口大に切るところから始まる。そしてジャガイモ・ニンジン・玉ねぎの順に少量塩を入れた鍋で煮ていく。軟らかくなったら鍋の水を切り、野菜を粗めに潰し、ヒュッツポットは完成。ソーセージもしくは牛肉の煮込みを添えたらオランダ流の食べ方ができる。

気になるのがヒュッツポットの味わいだが、野菜を煮込むことでニンジンと玉ねぎの甘さが引き立ち、シンプルながらも奥深い野菜の旨味が味わえる料理となっている。この料理に使用されるニンジンは初霜が降りてすぐに収穫される大きく太い品種の冬ニンジン。この冬ニンジンに含まれる糖分がヒュッツポットに深い甘みを加えることで味わい深い料理になっている。

ところでニンジンの色と言えば、多くの人が思い浮かべるのはオレンジ色だと思う。ニンジンのオレンジ色は実は17世紀ごろオランダで品種改良し作られたものであるということをご存知だろうか。北アフリカから出現した突然変異の黄色いニンジンの種子をオランダの科学者と栽培者が協力して改良し、オランダ王室であるオレンジ家をなぞらえてオレンジ色のニンジンを開発したそうだ。

ヒュッツポットは使用されているニンジンを含め、オランダの歴史と非常に深い繋がりがある料理であることがわかった。簡単なレシピなのでぜひご自宅でオランダの歴史を思い出しながら召し上がってみてほしい。

ヒュッツポットはソーセージや牛肉の煮込みと一緒に食べられる

ヒュッツポット

海外に派兵されたオランダ海軍は故郷の味であるヒュッツポットを恋しがったという逸話もある

ヒュッツポット

現代のニンジンのオレンジ色は17世紀にオランダによって開発されたものだった

ヒュッツポット
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