カオマンガイ
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
カオマンガイ
産地:タイ
材料:茹で鶏、ご飯、ソース、パクチー、キュウリ、スイートチリソース、タオチオソース
投稿:東京食品部員
屋台料理であるカオマンガイは
安価に食べられる(約40バーツ/¥120)
カオマンガイは茹でた鶏肉とその茹で汁で炊き込んだタイ米(ジャスミンライス)を共に盛り付けた米料理。タイでは日常的に食べられている料理で、ショッピングセンターのフードコートや道端の屋台で安価で手軽に食べることができる。使用される鶏肉はタイの旧国名「シャム」に由来するシャモ肉(軍鶏)が主流であり、米もタイで生産されたジャスミン米を使用しているためタイ料理として位置付けられているが、香港・マレーシア・シンガポールなどの東南アジアでも広く食べられている料理で、シンガポールでは「海南鶏飯(ハイナンジ―ファン)」とも呼ばれている。
カオマンガイにはパクチーとカットされたキュウリが添えられており、鶏肉を茹でた汁で作ったスープが必ずセットでついてくる。また店によって異なるが、スイートチリソースまたはタオチオという中国発祥の味噌に醤油・にんにく・生姜・唐辛子を足したタオチオソースの2種類が用意されていて、各自好みのソースを小皿にとるスタイルが多い。そして小皿に取ったソースをスプーンで蒸し鶏とご飯の上にかけて食べ進めていく。スイートチリソースは甘さが目立つソースなので、味が淡白な蒸し鶏に非常に良く合う。逆にタオチオソースは辛みが強く舌に残るしょっぱいソースなので、ご飯に少量かけて食べるとご飯に浸み込んだ鶏の風味としょっぱさがマッチして美味である。
タイ料理というと、トムヤムクンやタイカレーなど「辛い」イメージがあるが、カオマンガイのような料理もあることから辛いだけがタイ料理ではないということがわかる。タイはインドシナ半島に位置するため中国とインドの影響を最も大きく受けており、タイ料理は6世紀から13世紀にかけて移民してきた中華系民族がもたらした中華料理がベースになっていると言われている。実際にカオマンガイの別名である「海南鶏飯」の海南は中国南部の海南島を指しており、ここの地鶏を蒸した料理がカオマンガイの元であり、移民によってタイにレシピが伝わったとされている。一方カレーなどの辛味が強いスパイス料理はインドから仏教僧によりもたらされた。
日本でもタイ料理を提供するレストランは非常に多く、カオマンガイは既にメジャーなタイ料理となりつつある。しかしタイで本場のカオマンガイを食べることを強くお勧めしたい。店先の雰囲気、鶏肉の茹で加減、ソースの本格さは日本で食べるものとは異なっているからだ。
茹で鶏が基本だが追加料金で揚げ鶏も注文できる
カオマンガイを提供している屋台は茹でた鶏をまるまる店頭に吊るしていることが多い
スパイス好きなタイ人は卓上調味料である唐辛子をスープに入れて食べる