野沢菜漬け
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
野沢菜漬け
産地:長野県
材料:野沢菜、塩
投稿:東京食品部員
長野県を代表する漬物、野沢菜漬け(浅漬け)
野沢菜漬は長野を代表する冬の漬物である。1983年に長野県の選択無形民俗文化財「信濃の味の文化財」にも指定されているほど、長野県民にはなじみ深い漬物である。臭いは少なくあっさりとした味わいが特徴で、茶うけや酒の肴としても広く好まれる。そのまま食べる以外にも炒め物や炒飯に混ぜたり、細かく刻んで納豆に薬味として混ぜるなど料理にも広く使用される。またおにぎりの具やおやきの具材としても非常に人気が高い。
そもそも野沢菜漬けに使用されている「野沢菜」は長野県下高井郡野沢温泉村を中心とした信越地方で栽培されてきた野菜。
野沢菜は1756年に長野県下伊那郡野沢温泉村の名刹那王山健命寺のある和尚が京都に遊学の際に、浪速の天王寺蕪の種子を持ち帰った。それを寺の畑に蒔いたところ野沢温泉の風土や気候にあった結果、根も茎も蕪も大きくなり野沢菜になったという言い伝えがある。
野沢菜漬けには本漬けと浅漬けがある。本漬けは乳酸発酵を促進させたべっ甲色の野沢菜であり、多少酸味が強い。乳酸発酵が進んでいるため、この本漬けに含まれる植物性乳酸菌が着目され、その機能性が注目されている。浅漬けは収穫から2~3日で漬込み出荷されたもので、スーパーで販売されている野沢菜漬けの多くは浅漬けである。
元来の野沢温泉村での野沢菜の漬け方には特徴がある。これは本漬けの作り方だが、まず畑で根を切り落としてから、野沢温泉村にある野沢菜の共同浴場で菜っ葉を洗ったのち、大きな桶に敷き詰める。重量の3~3.5%の塩を使って漬込む。家庭によって塩以外にも好みで唐辛子・昆布・煮干し・柿の皮・酒・みりんなどを一緒に漬込む。2~3週間後から浸かり具合を見て野沢菜を桶から出し、漬け汁を絞って食べやすいように切って食べる。
昭和40年代までは農家の自家用栽培が大部分で、一部八百屋を通して非農家に販売されていたが、昭和40年代以降の観光ブームと共に野沢菜漬けの消費が増え、お土産用として工場で大量生産されるようになり、今では通年でその味が楽しめるようになった。特に野沢菜漬けが入ったおやきは1年を通して美味しく食べられるため、長野に立ち寄った際は食べてみてほしい。
長野県名産のおやきの具材として野沢菜は大人気
長野県はスーパーの漬物の棚が一段と広く、野沢菜も多くの種類が並べられている
野沢菜はふりかけやお茶漬けの素など幅広い商品に活用されている