凍頂烏龍茶
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
凍頂烏龍茶
(とうちょううーろんちゃ)
産地:台湾
材料:茶葉
投稿:台湾駐在員
台湾発祥の凍頂烏龍茶
甘く香り高い風味が特徴
日本でも日常的によく飲まれる「烏龍茶」。中国発祥のお茶であるイメージが強いが、実は「烏龍茶」はお茶の総称であることをご存知だろうか。日本でも緑茶の中に煎茶・玉露・かぶせ茶・抹茶などがあるように、烏龍茶にも鉄観音・黄金桂・水仙・色種・武夷岩茶など様々な烏龍茶が存在する。そこで今回は台湾発祥の「凍頂烏龍茶」という烏龍茶を紹介したい。
烏龍茶というと茶色で苦みが余韻として感じられるスッキリとしたお茶というイメージがあると思うが、日本で通常飲まれている烏龍茶は上記の様々な烏龍茶をブレンドしていることが多いため、日本人の多くはブレンド烏龍茶を飲んでいると考えていいだろう。凍頂烏龍茶はそのような烏龍茶のイメージとは異なり、明るい黄緑色・飲む前の爽やかさのあるフルーティーな香りが特徴。まろやかで甘みもあり、飲みほした後に甘みを帯びた余韻が長く口の中に残るのも特徴だ。
凍頂烏龍茶の起源は19世紀半ばに中国大陸から持ち込まれた烏龍茶の苗が台湾の凍頂山で栽培されはじめたことがきっかけで誕生した。台湾を代表するお茶として認知されるようになったのは、1970年代に台湾で経済開放政策が推進されたときに凍頂山一帯が輸出茶の開発・栽培モデル地区として選ばれ、官民一体となって凍頂烏龍茶のブランド化が進められたことからはじまる。
肝心の凍頂烏龍茶の淹れ方は左下写真のように道具が多く難しい印象だが、決まった手順を簡略にする人も多く、実際はフランクにお茶を楽しめる。まずは急須と湯飲みなどにお湯を入れ、茶器を温める。お湯を捨てたら急須に茶葉とお湯を入れ、すぐにお茶を別の器に流す。再び急須にお湯を注ぎ、茶葉に適した時間で蒸らす。蒸らす間に別の器に流しておいたお茶を急須にかけて保温させる。蒸らし終わったらお茶をカップに注いで完成。これは簡略化された淹れ方で台湾の茶芸館等に行くと本格的な台湾茶の淹れ方を習うことができるため、本格的な台湾茶の淹れ方に興味がある方は茶芸館に足を運んでいてほしい。
台湾には凍頂烏龍茶の他にも「東方美人茶」「文山包種茶」「木柵鉄観音」という台湾四台銘茶があるため、ぜひとも飲む機会を作ってみてほしい。新しい烏龍茶の魅力を見つけられるはずだ。
台湾特有の茶器でお茶を入れるところから楽しむのも、台湾茶の醍醐味
凍頂烏龍茶の茶葉。半球状で深い緑色をしている
台湾の茶屋。飲みきれないくらい茶葉の種類が多い