ワラビー肉(Wallaby Meat)
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
ワラビー肉(Wallaby Meat)
産地:オーストラリア タスマニア州
材料:ワラビー肉、ソース(赤ワイン、チョコレート、ブルーベリーなど)
投稿:オーストラリア駐在員
ワラビーのステーキには、野性味を受け止める濃厚なソースがマッチ
オーストラリアの南海岸、東の海上240km地点に浮かぶタスマニア島。1~2万年前まではオーストラリア大陸と、さらに何百年前も前には南極大陸とつながっていたタスマニアは、世界的にも珍しい動植物・景観・地質を有している。太古の自然が引き継がれていると言われ、様々な食べ物の宝庫となっている。
日本では輸入牛肉として知られているタスマニアビーフに馴染みがあるが、オーストラリアではポーク・ラムはもちろん、カンガルーやエミュー・ワニなどの鳥獣肉も食べる。とりわけタスマニアで手に入るものは美味とされ、オーストラリア国内の肉屋やスーパーのお肉コーナーではタスマニア産の多種類の肉が重宝されている。中でもカンガルーやワラビーは、古くは先住民アボリジニの食糧として捕獲されてきた歴史があり、現代でも重要な地位を占めている。
ワラビーは有袋類のカンガルー科に属し、カンガルーとは分類学的に明確に分けられていないがおおよそ25kgよりも軽いものに対し使われている。カンガルーに比べ後ろ足が小さく尾が短い。なお、カンガルーとワラビーの中間の大きさの種は、ワラルーと呼ばれる。後ろ足で跳躍し移動すること、育児嚢で子供を育てることなど、基本的な習性はどれも同じである。ワラビーは森林地帯や岩の多い地域、半乾燥地の広大な草地など様々な環境に適応し、幅広く分布する。1993年に、それまで禁止されていたカンガルー科の食用が解禁されたことにより、現代的に加工・消費されるようになった。タンパク質が豊富で脂肪分が少なく、家畜の肉より濃厚な風味が特徴である。ワラビーはカンガルー肉に比べ柔らかく、臭みも少ない。
先月閉幕した第8回ラグビーW杯イングランド大会決勝戦では、2連覇を達成したニュージーランドの「オールブラックス」に対し、準優勝となったオーストラリア代表の愛称は「ワラビーズ」として広く親しまれている。また日本代表ヘッドコーチであったエディー・ジョーンズ氏は、タスマニア州の出身である。
スーパーの肉コーナではお馴染み、カンガルー肉のミートボール
アボリジニの言葉で「平たい鼻」を意味する希少な動物ウォンバット
タスマニア島で遭遇した野生のワラビー