ヒルダ
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
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ヒルダ
産地:スペイン バスク地方
材料:オリーブの実、アンチョビ、酢漬け青唐辛子
投稿:東京食品部員
オリーブの実を頭に見立てたピンチョス
「ヒルダ」1.4ユーロ
星付きレストランの密集度から世界一の美食の町として知られるスペイン・バスク地方の都市、サンセバスチャン。 庶民的な立ち飲みスタイルのバルも多く、バスク語で「ポテオ」と呼ばれるはしご酒の楽しみに事欠かない町である。 お酒を一杯飲み、おつまみを楽しんでは河岸を換え、奢り奢られおしゃべりに熱中するというスタイルは、 地元の人にとっては大事なコミュニケーションの場である。バスク人は高潔で誇り高く、食い逃げなど考えられないので会計は自己申告の後払いである。 このポテオに於いて、おつまみとして発展したのがピンチョス(「串刺し」を意味する)である。
ピンチョスの発祥は、1942年創業のバルであると言われている。サンセバスチャンでワイン酒屋を営んでいたバジェス氏が、 店先で一杯引っ掛けていくお客さんの為に簡単な突き出しを小皿で振る舞うようになった。その時頻繁に登場したものがオリーブの実、 アンチョビ、酢漬けの青唐辛子。バジェス氏はこれをまとめて楊枝に刺して食べやすくした。オリーブの実を頭に見立てると女性の曲線美を表すことに気付き、 1946年当時話題を集めたドイツ映画の主人公で悪女を演じたセクシー女優リタ・ヘイワ―スの役名をとって「ヒルダ」と名付けた。
やがてヒルダを定番にピンチョスの文化はバスク地方のバルに定着し、1980年以降は種類にも多様性が生まれ、 土台にパンの輪切りを敷いた上に串を刺すようになった。1990年代以降はバーカウンターを舞台に見立てた陳列方法で提供するようになり、 芸術的な娯楽の一つにまで昇格した。近年ではナイフとフォークで食べる"ミニチュア料理"と評される手の込んだものも登場し、 ピンチョスは今なお進化し続けている。
「ヒルダ」のモデルとなった女優
リタ・ヘイワース
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進化系ピンチョス:白カビ山羊チーズ、生ハム、ドライトマト、チャツネ
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一杯+ピンチョス で次の店へ
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