ダンパー
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
ダンパー
産地:オーストラリア
材料:小麦粉、水または牛乳、食塩、重曹
投稿:オーストラリア駐在員
開拓時代からの伝統的なパンがダンパー
AU$4.50≒\390
ダンパーは、オーストラリア開拓時代に身の回りの品を携帯して歩く放浪者、スワッグマン(必需品を毛布に包んで担ぎ農場を渡り歩く労働者)、 牧童、旅人などが移動中にキャンプファイヤーの熱で焼いた伝統的な小麦粉のパンである。クイックブレッドの一種で、アイルランドからの移民によって持ち込まれたと言われている。 ダンパーはアイルランドでは「ソーダブレッド」と呼ばれており、重曹(炭酸水素ナトリウム)が伝来した1840年頃に誕生したとされている。 通常パンを作るときに使用されるイーストの代わりに重曹が利用されており、発酵不要であるので短時間で出来上がる。伝統的に生地に十字の切れ目が入れられるが、 これは悪魔を除けるためや妖精を追い出すためという説があるが、実際はパンがよく膨らむように空気を循環させるためであると考えられている。 またスライスする際の目安としても役に立っている。アイルランドの朝食では、紅茶とポークソーセージとの組み合わせでよく食べられている。
オーストラリアでの伝統的な焼成方法は、まずキャンプファイヤーの熱い灰を平らにし、そこに生地を置く。10分ほど後に今度は灰で全体を覆い、 そのまま20~30分静置すると焼きあがりである。ダンパーは日干しにした肉や、ゴールデンシロップ(サトウキビ等からの糖蜜)と一緒に食べることが一般的であった。 現在もキャンパーには人気の高いメニューであり、ニュージーランドでもキャンピングの食事として広まっているという。 パン屋やスーパーでも「ダンパー」の名で売られているが家庭ではミックス粉が重宝されており、手軽に作ることができる。鉄板で焼成することが一般的で、 オーブンと異なりキャンプファイヤーでの焦げ目の付き方と似通った具合となる。
紅茶といただくアイルランド流
牛乳を混ぜるだけのお手軽ミックス粉
メルボルンには数点、アイルランド食材専門店がある