パステル・バスコ
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
パステル・バスコ
(Pastel Vasco)
産地:スペイン バスク州
材料:卵、小麦粉、無塩バター、グラニュー糖、アーモンドパウダー、塩、コアントロー(生地)、牛乳、卵黄、コーンスターチ、バニラパウダー(カスタード)
投稿:東京食品部員
素朴な焼き菓子パステル・バスコ €2≒\260
西ヨーロッパ・イベリア半島の大部分を占める国、スペイン。ポルトガルと同様に、大航海時代を牽引し、 海洋帝国としてその名を世界に轟かせた。スペインは現在17の自治州が存在し、各地域の民族意識が非常に高く、 特に「バスク人」としての帰属意識が高い地域がバスク州である。ピレネー山脈を挟んでスペイン北東部とフランス南西部にまたがるバスク地方は、 かつて統一国家として繁栄した。16世紀にフランス側とスペイン側に分割・編入されることとなったものの、その後も文化や風習を守り続けてきた。 海と山とに囲まれ、豊富な食材に恵まれていたこの地域では、フランスとスペインの特徴を取り入れたことで、独自の食文化が育まれた。 その象徴的な郷土菓子が、「パステル・バスコ(ガトー・バスク:仏語)」である。スペインの名産であるアーモンドをふんだんに使用し、 バターを贅沢に使うフランス菓子の影響を受けたと思われるレシピで構成されている。
パステル・バスコの誕生は17世紀頃とされ、遠洋漁業に出る漁師のために家族が準備した日持ちするお菓子がその起源だったといわれている。 日持ちさせることが重要だったため、誕生した当初は何も挟まれていないビスケットのようなお菓子だったという。現在は、 カスタードクリーム入りがスペイン領のバスクでは主流である。一方フランス領のバスクでは、19世紀に入ってイッツァス・イクサス村の 「スリーズ・ノワール」と呼ばれるブラックチェリーを中に詰めたものが大好評となり、それ以降定着した。
パステル・バスコはシンプルで素朴な郷土菓子であるが、バターの旨味やアーモンドの豊かな香りなど、 素材の美味しさを贅沢に味わえるバスクの誇りの詰まった菓子である。
たっぷり詰まったカスタード
クリームがスペイン・バスクの主流
ベレー帽はバスクの民族衣装が起源と言われている帽子
卵黄と砂糖を練って作る「ジェマ」もポピュラーな菓子