ジェノベーゼソース
グローバル化が進む現代だからこそ、根強く愛され続けているのは地元の郷土料理。
ほっとする家庭料理、ならわしとしての食事、季節を感じる食材etc...
各国各地の文化をのぞいて下さい。
ジェノベーゼソース
産地:イタリア リグリア地方
材料:ニンニク、粗塩、バジル、松の実、パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノ
投稿:イタリア出身インターンシップ生
プラー地区のバジルを使ったソースが最高品質
日本でも広く認知されているジェノベーゼソース(イタリア語では「ペスト・ジェノベーゼ」)はイタリアのリグリア地方発祥の伝統的なソースである。最も有名な食し方はパスタと和えることで、リグリア地方ではトロフィエというショートパスタにジャガイモ、サヤインゲンを加えるのが伝統的。パスタの他にもミネストローネスープに入れたり、フォカッチャやテスタイユ(リグリア地方伝統のしょっぱいクレープ)に塗って食したりすることもある。
またこのソースは「冷たい」ことが最大の特徴。ジェノベーゼソースは大理石でできたすり鉢にバジル、松の実、ニンニク、粗塩、エクストラバージンオリーブオイル、パルミジャーノ・レッジャーノとペコリーノ・ロマーノを入れてすり潰すため、火を使わず冷たいソースとなる。全て生の食材であるため、新鮮なバジルとチーズが合わさることで濃厚な風味が生まれる。
イタリアではジェノベーゼソースのことを「ペスト・ジェノベーゼ」と呼ぶ。上記のすり鉢で「すり潰す」行為をイタリア語でペスト、リグリア地方のジェノバという都市発祥のため2つを掛け合わせてペスト・ジェノベーゼと言われるようになった。
そんなジェノベーゼソースの歴史は1852年まで遡る。エマヌエレ・ロッシという人物が書いた「真のジェノバ料理」という本にジェノベーゼソースのレシピが書かれていた。昔はニンニクを大量に使用したパスタソースがあり、ジェノベーゼソースはそのソースが派生した形と言われている。海の上で船員がパスタを食す際、栄養のためにニンニクを積極的に摂っていたという背景から、ジェノベーゼソースも以前はニンニクが大量に入っていた。
まずはニンニクをすり潰し、そして粗塩とバジルをペースト状になるまですり潰す。松の実、パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノを加えてすり潰し、最後にオリーブオイルを混ぜながら加える。一見簡単なレシピのように思えるが、バジルは変色しやすい上に苦みが出やすいため新鮮なうちにすり潰すという作業が非常に難しい。そのためイタリア人もジェノベーゼソースは市販のソースを買うことが多い。また現在ではジェノベーゼソースをミキサーで作ったり、色んな食材を加えたりすることもあるが、伝統的なレシピの材料は全てがリグリア産である。ぜひ一度本場のジェノベーゼソースを味わってみていただきたい。
手作りが難しいジェノベーゼソース
イタリア人も市販のソースを購入する
トロフィエというショートパスタとともに食すのがメジャーな食べ方
リグリア地方沿岸部
船上でもジェノベーゼソースは食された