モッツァレラチーズはなぜ伸びるの?
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。
モッツァレラチーズはなぜ伸びるの?
ラジオネーム "深夜のチーズケーキ" さんからのお便りです。
「夏に食べるモッツァレラチーズが大好きです!ところで、なぜモッツァレラチーズは冷たい状態だと弾力があってもちもちしているのに、焼いたら伸びるのでしょうか?」
チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは~! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
前回もお話ししたような気がしますが、最近は本当に暑いですね。炎夏到来という感じがします。この時期になると、日本各地で花火やお祭りが開催されてにぎわってきますね!皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私はこの前お祭りに行きましたが、あまりの人の多さと暑さに耐えられず、大半は近くのカフェで涼んで休憩していました・・・。イベントは好きなのですが、やはり暑さには負けますね。
みなさんも無理はせず、夏を楽しんでくださいね!
さて、今回のテーマはモッツァレラチーズについてです!
私もモッツァレラチーズは大好きです。トマトとオリーブオイルを合わせてカプレーゼにして食べると、さっぱりしていて夏にぴったりですよね。
たしかにお便りにいただいた通り、冷たい状態だと弾力がありますが、ピザなどに乗っている熱されたモッツァレラチーズはよく伸びます。
なぜこのような特徴をもつのか、お話していきたいと思います!
パスタフィラータ製法
モッツァレラチーズが伸びる理由ですが、パスタフィラータという製法が関係しています。
パスタは「生地」、フィラータは「繊維状・練る」という意味です。つまり、簡単に言うと生地を繊維状に練ってつくられるチーズです。
作り方は、最初は他のチーズと同様で、牛乳を温めて凝乳させ、固まった乳の固形分を細かく切って水分を排出し、そして少し休ませます。
ここまでは同じなのですが、そこに高温の熱湯を流し入れて、手早くかき混ぜていきます。すると一度固まった乳はまた柔らかくなり、つきたてのお餅のようになります。さらに高温の熱湯の中で練り続けると、糸状のよく伸びる質感になります。
モッツァレラチーズのモッツァレラとは、イタリア語で「引きちぎる」という意味があります。その名の通り、この状態にまでなったら引きちぎって成型させます。このようにしてモッツァレラチーズが出来上がるのです。
チーズの中身は糸のような繊維状の組織でくっついているので、焼いたり熱したりすると細長い糸のようになって伸びるんですね!
パスタフィラータ製法を用いたチーズ
実は、モッツァレラチーズ以外にもパスタフィラータ製法を用いたチーズはいくつかあります。
せっかくなので少し紹介していきましょう!
一つめに紹介するのは、プロヴォローネ。
プロヴォローネは、イタリアのナポリを原産地とした大型のセミハードチーズです。
淡白であっさりとしていて、適度な甘さと酸味があるのでクセが苦手な方は特に楽しめます! モッツァレラチーズと比べて水分量が少なく適度に熟成させているのに、パスタフィラータ製法を用いているため、柔らかめの食感でフレッシュさが残っているという不思議な特徴をもつチーズです。
子牛のレンネット(凝乳酵素)を使用してつくられる柔らかい風味のプロヴォローネ・ドルチェと、子羊のレンネットを使用してつくられる強い風味のプロヴォローネ・ピカンテがあります。
次に紹介するのは、スカモルツァです。
同じくパスタフィラータ製法で作られているチーズです。
ひもで縛って吊り下げて熟成させるので、代表的な形のものは洋ナシのような形になっていて、比較的小さいサイズなのが特徴です。
ビアンカ(そのままの乳白色のもの)とアフミカータ(燻製したもの)の2種類があり、その燻製方法は、通常のスモークチーズで使われる桜やヒノキなどのチップではなく、小麦の藁で燻製させるので、風味が強くなりすぎずスモークチーズが苦手な人でも食べやすいチーズです!
基本的には牛乳で作られますが、羊や水牛の乳から作られているものもあるみたいですよ~!
どちらのチーズも、そのまま食べても弾力があり美味しいのですが、スライスして焼くと、よく伸びてとろとろとした食感になり、より美味しく感じられます。個人的には、焼いた後にオリーブオイルと黒胡椒をかけて食べるのがおすすめです!
さて、モッツァレラ、パスタフィラータ製法についてちょっぴり掘り下げてみたところでそろそろお別れの時間がやって参りました。
普段何気なく食べているチーズですが、実は製法にもいろいろとこだわりがあるんですね。モッツァレラチーズと同じ製法で作られているチーズも興味があったら是非試してみてください!
それではまた来週!See you again!