カビってどうやって生えるの?
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。
カビってどうやって生えるの?
ラジオネーム "ラッコ" さんからのお便りです。
「ブルーチーズが好きでよく食べています。ところでチーズには青カビや白カビチーズがありますが、2つのカビは何が違うのか、どうやって生えるのか教えてほしいです。」
チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは~! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
秋晴れの日が増えて、段々と過ごしやすい季節になってきましたね。
またこの時期は美味しい食べ物が多いですよね~。 体重の増加がどうしても気になってしまいます…。
そういえば実家からシャインマスカットが届きまして、そのまま食べるのもすごく美味ですけど、カマンベールと合わせて食べたり、モッツァレラチーズと一緒にマリネにすると更に美味しくなります。この旬の時期に、皆さんも試してみてください!
さて、今回のテーマは“青カビや白カビがどうやって生えるのか!”ですね。
確かに何気なく食べているカビチーズですが、チーズのどこからどうやってカビが生えてくるのか、青かカビと白カビは何が違うのか……、考え出すとキリがないくらい気になることがとっても多いですよね。
では今回はカビの秘密についてお話していきたいと思います♪
青カビと白カビの違い
何が違うのか少し考えてみましょう。冒頭に掲載しているチーズの写真を見てください。
これは青カビも生えていて、白カビも生えているチーズですね。
私も初めてこのようなチーズがあると知ったときは驚いたのですが、実は青カビと白カビが両方生えているチーズって結構あるんですよ。しかも、なかなか美味しい!!
……味の話は置いておいて、まず2つのカビの違いは生える場所にあります。
写真を見ると青カビはチーズの内側に生えていて、白カビはチーズの外側に生えています。まずこれが大きな違いですね。どうして生える場所が違うのか? これはカビをチーズに加えるタイミングが異なるからです。
これはお馴染みのゴルゴンゾーラ・ピカンテですね!
この大理石のような美しい青カビは、チーズが固まる前に「ペニシリウム・ロックフォルティ」という青カビ菌を加えることで、チーズの内部にカビ菌が入り込み、熟成期間中にカビ菌が内側でどんどん繁殖していきます。
ただですね、カビ菌は空気があるところでしか繁殖ができないので、ステンレスの尖った棒でチーズに何ヵ所も穴をあけて、空気の通り道を作ってあげることが大切なんです。
このゴルゴンゾーラの写真を見ると、チーズ中央に青カビでできた直線が見えますよね?
これが棒で刺した空気の通り道なんです!この通り道から空気が入り、青カビが大理石状に広がっていくことで青カビチーズが出来あがるんですね。
さて、白カビ代表のカマンベールです。フワフワした白カビととろっとした中身が魅力的ですね…!
白カビが生えているのはチーズの外側なので、チーズを成型した後に「ペニシリウム・カマンベールティ」という白カビを水に溶かした水溶液を霧吹きや噴射器に入れて、チーズの表面に吹き付けます。
そして熟成すること約2週間。チーズの表面にフワフワな白カビが生えてくるんですね~!
青カビと白カビは生えている場所が異なるので、製造方法が異なるのは当たり前なんですけど、同じカビチーズなのにこんなに作り方が違うなんて大変興味深いです。
ちなみに白カビチーズについて補足すると、表面につけられた白カビ菌は、チーズの外側から内部に熟成を進めていく働きをしています。つまり、中心部分が硬かったら熟成が若く、とろとろになっていたら熟成が進んでいるということです!
白カビチーズのあのとろとろ感は白カビ菌が熟成を頑張っているからなんですね♪
青カビ&白カビチーズ
そこで気になるのが冒頭にでてくる青カビも白カビも生えているチーズですよね!!
ようやくチーズ紹介タイムに入れます!!
カンボゾーラ
ブレスブルー
どちらも私が愛してやまないチーズ、ドイツ産の「カンボゾーラ(Cambozola)」とフランス産の「ブレスブルー(Bresse Bleu)」です。
カンボゾーラは名前の通り、カマンベールとゴルゴンゾーラを組み合わせて作ったユニークなチーズです。
乳脂肪分が高くミルキー&クリーミー、そして生えている青カビが少ないので、チーズ初心者の方でも大変食べやすいチーズです!
バゲットにカンボゾーラとハチミツを合わせて食べたら、天国を味わえます。青かびがいいアクセントになるんですよね~…。
ブレスブルーはフランスのブレス地方で誕生したチーズです。第2次世界大戦中、フランスにゴルゴンゾーラが輸入されなくなったのをきっかけに国境を越えたイタリアのチーズ職人たちがブレスブルーの前身となるチーズを作りました。イタリア人考案ということもあり、ゴルゴンゾーラのようなクリーミーな食感と青カビのマーブル模様が特徴です。
ブレスブルーもとっても食べやすいチーズなので、焼いたパンに乗せたり、サラダに入れたり、デザートとしても楽しめる万能なチーズですね!
さてさて、チーズの紹介が済んだところで、そろそろお別れのお時間です。
同じ原材料でカビを加える工程が異なるだけで、こんなにも違う特徴になるものって珍しいと思うんですよね。
本当にチーズは興味深く面白いので、ラヴァーズの皆さんももっとチーズのことを色々と知ってほしいと思うこの頃です。
でも美味しいからといって食べすぎには注意ですよ! それではまた来週! See you again!!