近代的製法で作られているチーズとは?
今宵も奥深く濃密なチーズの世界へ、ようこそお越しくださいました。
この時間は、普段聞きたいけど聞けないチーズの素朴な疑問をわたくし、DJゴーダが丁寧にご説明いたします。
本日もチーズラヴァーの皆さんよりたくさんのお便りを頂いております…。
それでは早速、本日のお題に参りましょう。
近代的製法で作られているチーズとは?
ラジオネーム "チーズには白ワイン派" さんからのお便りです。
「茨城で酪農業を営んでいます。チーズ作りに挑戦してみたいと考えていまして、伝統的な製法のチーズではなく、近代的な製法で作られているチーズがあれば教えてほしいです。」
チーズラヴァーズの皆さん、こんばんは~! 今宵も始まりました「Cheese FM」のお時間です。
先月も最近気温が高くて暑い~という話をしたと思うのですが、その時よりも更に気温が上がっていて、暑いどころではなくなってきましたね。
外を歩くと皮膚がビリビリして、鉄板で焼かれている肉の気持ちになります。
ところで暑いといえば、最近知り合いの酪農家さんを訪ねることがありました。
牛舎は屋根こそありますが、屋外なのでとっても暑いんですよね。
だから牛は常にお水を飲んでいるんですけど、同時に「鉱塩」という塩飴のような固形飼料を常に舐めているんですね。
牛だけではなく人間にとっても塩分は生命維持のために必要な成分なので、ラヴァーズの皆さんも汗を欠いたら積極的に塩分摂取しましょうね!
さて、今回のテーマは“近代的な製法で作られてるチーズ”ですね!
チーズというと、DOP認証があるように、代々受け継がれてきた製法で作られている製品が多いようなイメージがありますよね。
実際は、職人の手でひとつひとつ作られているパルミジャーノ・レッジャーノのようなチーズもあれば、すべての工程が全自動機械で作られている工業的なチーズもあります。
今回はそのなかでもより近代的な製法で作られている珍しいチーズをご紹介したいと思います!
パヴェ・ダフィノアとは
それはフランス産の「パヴェ・ダフィノア(PAVE d’ Affinois)」です!
このチーズは、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ圏のロワール県産で、チーズでは珍しい立方体の白カビチーズなんです。なんとまあ…、四角形で愛らしい形のチーズですよね。
包装紙を開ける前でも、チーズから牧草のような大地のニュアンスを感じます。
四角形を半分にカットしてみると、きれいな白カビの外皮の下に真っ白で滑らかな質感が眠っていました。
内部が二層に見えるのは若干熟成が進んでいるからですね~!
白カビは外側から熟成が進むので、まだ芯が残っているこのチーズは熟成途中の感じでしょうか?
熟成が更に進むと、内部のチーズが流れ出てしまうくらいトロトロになり、味わいもより濃厚になります。
熟成過程を楽しめるのもGOODポイントですね♪
味は塩味が少なく、リッチでクリーミー。そして、口当たりは繊細でなめらか。
白カビのクセもほとんどありません。
今回はそのまま食べましたけど、ハチミツやフルーツジャムと合わせたら完全にドルチェですね。
パヴェ・ダフィノアの由来
パヴェ・ダフィノアはフランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ圏のロワール県で作られているチーズで、「パヴェ」とはフランス語で石畳を意味しています。四角い見た目が石畳を連想させるんでしょうね!
フランスでは四角いチーズに「パヴェ」という名前を付けることが多く、パヴェ・ダフィノア以外にも「パヴェ・ドゥ・ノー」や「パヴェ・コレジアン」等と名付けられた四角いチーズがあります。
パヴェ・ドゥ・ノー
ウルトラフィルトレーション製法
さてさて、ここで本題です。
パヴェ・ダフィノアを語るうえで欠かせない「ウルトラフィルトレーション(UF)」という製造技術についてご紹介したいと思います。
このチーズが開発されたのは1981年で、開発当初からウルトラフィルトレーションで作られています。
ウルトラフィルトレーションとは、生乳を極めて目の細かい「限外ろ過膜(UF膜)」という膜に通すことで、生乳からチーズ製造に必要な成分を取り出す技術なんです!
チーズ製造のお話なので、もしかしたらイメージしづらいところがあるかもしれないのですが、チーズ製造では固めたカード(※チーズになる前のもの)から水分を抜く「圧搾」という工程があります。
ウルトラフィルトレーションでは、生乳の段階でチーズ製造に不必要な水分を取り除いてしまうので、通常のチーズ製造よりも作業量が少なくて済むんですね。
ウルトラフィルトレーションによる利点は作業の効率化だけでなく、カルシウムやたんぱく質の栄養素がより多くチーズに残ります!
そしてムラがなく均質でクリーミーな物性、さらに安定した品質が実現できるんです!
う~ん……、この製法…アメイジング!!
まさにパヴェ・ダフィノアこそ、近代的な製法で作られているチーズと言えますね♪
さてさて、話の区切りがいいところで、そろそろお別れのお時間となってしまいました。
このパヴェ・ダフィノア……、実は青カビが生えたブルータイプ、外皮をウォッシュしたタイプ、山羊乳が使われたシェーブルタイプ、ハーブが混ぜ込まれたタイプなど様々な種類が作られています。
今回は最もシンプルな白カビのものだけを食べてみましたが、これはぜひ色々食べ比べてみたい~!
チーズの専門店で売っていることが多いので、行った際に探してみてくださいね。
それではまた来週! See you again!!